休日に職場の同僚に物品等を販売する社員への対応

Q 問題社員のAは休日に同僚を自宅に呼び寄せ、色々な物品を売りつけているらしく、同僚社員からどうにかしてほしいと苦情も出ている。また、問題社員B(男性)は同僚社員(女性)の自宅に度々押しかけて、社会活動への勧誘を行っているらしい。会社としてどのような対応をすべきか。

A 1 上記のような問題社員の行為が勤務時間中になされているなら、当然に会社はこれを制限、懲戒することが可能です。しかし、勤務時間中でない私生活上の行為について会社が制限し、またはこれに懲戒処分を行うことは、通常はできません。

 

 もっとも、例外的に認められる場合があります。判例では職場外での職務遂行に関係のない行為であっても、「企業秩序の確保のために、これを規制の対象とすることが許される場合もありうる」としています(国鉄中国支社事件・最判昭49.2.28・労判196-24)。

 

 私生活上、同僚の自宅を度々訪問して政治活動、新聞、職場サークルへの加入を勧めたことに対する懲戒処分の効力が争われた事案でも、同様に企業の運営への悪影響があるか、企業の利益が害されまたは害されるおそれがある場合にはその限りで懲戒の対象となり得るとしています。(愛知機械工業事件・名古屋地判昭45.12.18労判119-57)。

 

 会社としては、私生活上の行為について規制ができるのはあくまで例外的な場合であることを意識し、相当悪質で業務に支障が出るといえる場合に限り規制や処分を検討しましょう。

 

 具体的には、問題社員Aのような同僚への物品販売行為については、①犯罪行為や違法行為に該当する場合、②会社の兼業禁止に違反する場合、③パワーハラスメントに該当する場合などは会社の規制や懲戒処分が及びやすいといえます。

 

2 会社の対応としては、まず、問題社員の行為の詳細の内容を把握することが必要です。

 詳細な内容を確認した結果、問題社員の行為が会社の規制や懲戒処分が認められる場合であれば、社員に会社として正式な注意を行います。会社の注意に社員が従わない場合には、懲戒処分をすることも可能と思われます。

 

3 本件の場合、会社としては、私生活上の行為について規制ができるのはあくまで例外的な場合であることを意識し、相当悪質で業務に支障が出るといえる場合に限り規制や処分を検討しましょう。

 

 具体的には、問題社員Aのような同僚への物品販売行為については、①犯罪行為や違法行為に該当する場合、②会社の兼業禁止に違反する場合、③パワーハラスメントに該当する場合などは会社の規制や懲戒処分が及びやすいといえます。その際には、事実関係の調査をしっかりと行うこと、事前に注意等の手続を踏んで改善を促すことが重要です。