第1 働き方改革法の全体像
1.働き方改革の目的
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働き方改革は、「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」「育児や介護との両立」など、働く方のニーズが多様化した社会において、働く人々の個々の事情に応じた多様な働き方を選択することができる社会を実現することにより、働く人々が一人ひとりのより良い将来の展望を持てるようにすることを目的としています。
2.全体像
1.働き方改革の総合的かつ継続的な推進
働き方改革に係る基本的な考え方を明らかにするとともに、国は、改革を総合的かつ継続的に推進するための「基本方針」(閣議決定)を定めることとする。(雇用対策法)
2.長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現等
(1)労働時間に関する制度の見直し(労働基準法)
・ 時間外労働の上限について、月45時間、年360時間を原則とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間、単月100時間未満(休日労働を含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)を限度に設定。
※ 自動車運転業務、建設事業、医師等について、猶予期間を設けた上で規制を適用等の例外あり。研究開発業務について、医師の面接指導、代替休暇の付与等の健康確保措置を設けた上で、時間外労働の上限規制は適用しない。
・ 月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率(50%以上)に ついて、中小企業への猶予措置を廃止する。また、使用者は、10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、5日について、毎年、時季を指定して与えなければならないこととする。
高度プロフェッショナル制度の創設等を行う。(高度プロフェッシナル制度における健康確保措置を強化)
・ フレックスタイム制の清算期間の上限を「1カ月」から「3カ月」に延長。
(2)勤務間インターバル制度の普及促進等(労働時間等設定改善法)
・ 事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならないこととする。
(3)産業医・産業保健機能の強化(労働安全衛生法等)
・ 事業者から、産業医に対しその業務を適切に行うために必要な情報を提供することとするなど、産業医・産業保健機能の強化を図る。
3.雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保
(1)不合理な待遇差を解消するための規定の整備(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
・ 短時間・有期雇用労働者に関する正規雇用労働者との不合理な待遇の禁止に関し、個々の待遇ごとに、その待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨を明確化。
併せて、有期雇用労働者の均等待遇規定を整備。派遣労働者について、(a)派遣先の労働者との均等・均衡待遇、(b)一定の要件※を満たす労使協定による待遇のいずれかを確保することを義務化。
また、これらの事項に関するガイドラインの根拠規定を整備。
(※)同種業務の一般の労働者の平均的な賃金と同等以上の賃金であること等
(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化(パートタイム労働法、労働契約法、労働者派遣法)
・ 短時間労働者・有期雇用労働者・派遣労働者について、正規雇用労働者との待遇差の内容・理由等に関する説明を義務化。
(3)行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
・ (1)の義務や(2)の説明義務について、行政による履行確保措置及び行政ADRを整備。
【施行期日】
上記1:公布日
上記2:平成31年(2019年)4月1日(2の(1)中小企業における割増賃金率の見直しは平成35年(2023年)4月1日)
上記3:平成32年(2020年)4月1日(中小企業におけるパートタイム労働法・労働契約法の改正規定の適用は平成33年(2021年)4月1日)
働き方改革関連法により改正された法律 |
問合せ先(担当労働行政機関) |
労働基準法、労働安全衛生法、じん肺法、労働時間等設定改善法、労働契約法 |
労基署、都道府県労働局労働基準部 |
パートタイム(短時間)労働法 |
都道府県労働局雇用環境・均等部(室) |
労働者派遣法 |
都道府県労働局需給調整部 |
雇用対策法 |
都道府県労働局職業安定部 |
施行日は、原則として平成31年(2019)4月1日です。