第3 労働組合とは
1 労働組合とは
1)労働組合とは
労働組合とは「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体である」(労組法2条本文)。
組合(団体)でなければならないので一人では労働組合を結成できないが二人以上いれば労働組合を作ることはできる。
維持改善の目的となる労働条件は賃金労働時間、休日、休暇、安全衛生、災害補償、懲戒、人事、解雇、福利厚生などおよそ労働条件に関することであればありとあらゆることが含まれる
2)労働組合の種類
ア 企業別労働組合
我が国で主流な労働組合は、企業ごとに組織される企業別労働組合である。また、企業別労働組合の多くは、上部団体として産業別の連合対(産業別労働組合)を組織し、それらの連合体を通じて全国組織であるナショナルセンター(連合・全労連)に加入している。
イ 職種別労働組合
同一職業に従事する労働者によって組織される職種別労働組合もある。音楽家、パイロット建築家など職種ごとに労働組合を結成して活動するケースなどである。
ウ 一人でも加入できる組合
企業に労働組合がないなどの場合一人でも加入できる労働組合に加入して活動するケースもある。管理職ユニオン、パートユニオン、青年ユニオンなどのユニオン系と呼ばれる組合である。
ユニオンは管理職、パート、契約社員など雇用形態グループごとに結成される労働ウ見合いのケースが多い。個別企業を基盤とせずに個人加盟であることに特徴がある。
エ 地域ユニオン
また、職種でなく地域を基盤として組織される個人加盟のコミュニティユニオンが近年目覚ましく増えている。
オ ネットユニオン
インターネットを通じて組織するネットユニオンなる組織も登場している。ネットを通じて労働者の質問に答えたりしている。
3)ユニオン系組合の特徴
ユニオン組合は企業という枠を越えて結成されている点地域一般労組(合同労組)と同じと言ってよい。地域一般労組の場合 職場ごとに組織された支部(⚪⚪産業支部など)が混在するケースが多い。
4)労働組合法における労働組合
労働組合法2条但し書きは役員 雇い入れ 解雇昇進異動について直接の権限を有する監督的地位にある労働者等、使用者の利益を代表する者の参加を許諾する組合、阻止イ運営のための経費について使用者の経理上援助を受ける組合は労組法の規定する労働組合には該当しないとする。
この組合については、労組法が定める特別の保護を受けることはできない。すなわち、(1)労働委員会による不当労働行為に対する救済(法27条 7条)(2)法人格の取得資格(法11条)(3)労働委員会への労働者委員の推薦資格(19条の3 19条の2)を享受することはできない。
しかし、労組法上の要件を充足しなくても憲法上は労働組合であることに変わりはないので団結権団体交渉権、団体行動権が保障されることには代わりはない。
このような組合を「憲法上の組合」「法不適合組合」 労組法の要件を充足した組合を労組法上の組合、法適合組合と呼ぶことがある。