2 労働契約

 労働契約は、労働者が労働力(労務)の提供を、使用者がこれに対する報酬の支払いを約することを基本的内容とする契約で、労使間の合意により成立します。

 

 労働契約の内容も労使間の合意で定めることができますが、労働基準法(労基法)の定める労働条件を下回る内容の契約をすることは許されません(労基法1条2項)。実際に契約で労働基準法の労働条件を下回る内容の契約をすると(例として、1日15時間の労働時間とする契約)、その部分は無効となり、労基法が定める基準が契約内容となります(上記の例では、15時間の労働時間の合意は無効で、労基法32条2項の定める8時間が契約内容となります)。このような労基法の規定が契約内容を形成する効力を、直律的効力といいます(労基法13条)。

 

 なお、民法には「雇用契約」の定めがあり、労働法上の「労働契約」との異同が問題となります。実際に労働契約の大半は雇用契約に当たります。しかし、形式的には民法上の委任・請負契約でも実質的には労働契約として労働法による保護を及ぼすべき契約関係があるため、労働法では、民法上の「雇用契約」とは異なる「労働契約」として区別しています。